遺言書には複数の種類があり、作成方法や効力、利用される場面が異なります。
一般的には自筆証書遺言や公正証書遺言が利用されますが、病気や事故などで通常の方法が取れない場合には特別方式遺言が認められることもあります。
本記事では、それぞれの特徴や違い、選び方について解説します。
普通方式遺言と特別方式遺言の違い
遺言書は、大きく普通方式遺言と特別方式遺言に分けられます。
普通方式遺言とは、通常の生活の中で作成する一般的な遺言書のことです。
自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、多くの方はこの中から自分に合った方法を選択します。
一方、特別方式遺言は、病気や事故などで死が迫っている場合や、船舶中や隔離病棟など通常の遺言書を作成できない状況で認められる例外的な制度です。
危急時遺言や隔絶地遺言がこれにあたります。
民法第967条以降では、それぞれの方式ごとに要件が定められており、方式に不備があると遺言書が無効となる可能性があります。
遺言能力は満15歳以上に認められているため、年齢要件を満たしていれば誰でも遺言書を作成できます。
自筆証書遺言について
自筆証書遺言は、遺言者本人が自分で作成する遺言書です。
費用を抑えやすく、自宅で手軽に作成できることから、もっとも利用されることが多い方式です。
自筆証書遺言の作成方法
自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印することで作成します。
財産目録についてはパソコンで作成することも可能ですが、本文部分は必ず手書きでなければなりません。
作成後は自宅で保管することもできますが、紛失や改ざんを防ぐために法務局の保管制度を利用する方法もあります。
法務局での保管手数料は3900円です。
自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言のメリットは、費用がほとんどかからず、自分のタイミングで作成できることです。
また、誰にも内容を知られずに作成できるため、プライバシーを重視する方にも向いています。
法務局の保管制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクを軽減できるほか、相続開始後の家庭裁判所での検認手続きも不要になります。
自筆証書遺言のデメリット
自筆証書遺言は手軽な反面、形式不備で無効になるリスクがあります。
日付の記載漏れや押印忘れ、署名漏れなど、わずかなミスでも無効になる可能性があります。
また、内容の妥当性までは確認されないため、遺留分への配慮不足などがあると、相続人間の争いにつながることがあります。
公正証書遺言について
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成に関与する遺言書です。
形式不備のリスクが低く、確実性が高い方法として利用されています。
公正証書遺言の作成方法
公正証書遺言は、公証役場で証人2名以上の立会いのもと作成します。
遺言者が公証人に内容を伝え、公証人が文章化します。
その後、公証人が内容を読み上げ、遺言者と証人が確認したうえで署名押印して完成します。
原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。
証人には未成年者や推定相続人などはなれないため、事前に適切な人選が必要です。
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言の最大のメリットは、形式不備によって無効になるリスクがほとんどないことです。
公証人が法律に沿って作成するため、法的に安定した遺言書を残せます。
また、家庭裁判所での検認手続きが不要であり、相続人の負担を軽減できます。
公正証書遺言のデメリット
公正証書遺言は、公証人手数料がかかることや、証人を2名手配しなければならないことがデメリットです。
費用は財産額によって変わりますが、一般的には数万円から数十万円程度かかります。
秘密証書遺言について
秘密証書遺言は、遺言書の内容を誰にも知られたくない場合に利用される遺言方式です。
遺言者が作成した遺言書を封筒に入れて封印し、公証人と証人2人以上の前で提出することで、遺言書の存在を証明してもらいます。
内容を秘密にできる一方で、公証人は内容までは確認しないため、形式不備や内容の不備によって無効になる可能性があります。
また、相続開始後には家庭裁判所での検認手続きも必要です。
そのため、実務上はあまり利用されていません。
特別方式遺言について
特別方式遺言は、病気や事故などで死亡の危険が迫っている場合や、隔離された場所にいる場合など、通常の遺言書を作成できない状況で認められる遺言方式です。
危急時遺言
危急時遺言は、病気や事故などによって死亡の危険が迫っている場合に利用される遺言方式です。
証人3人以上の立会いのもとで遺言内容を口頭で伝え、証人のうち1人が筆記します。
その後、家庭裁判所の確認を受けることで効力が認められます。
隔絶地遺言
隔絶地遺言は、船舶中や伝染病による隔離など、外部と連絡を取りにくい場所にいる場合に利用される遺言方式です。
警察官や船長などの立会いのもとで作成されます。
実際に利用される場面は限られており、通常は普通方式遺言を作成できない場合の最終手段として用いられます。
まとめ
遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれ確実性や費用、手続きの手間が異なります。
費用を抑えて手軽に作成したい場合には、自筆証書遺言が向いています。
一方で、不動産がある場合や相続人が多い場合、相続トラブルを防ぎたい場合には、公正証書遺言が適しています。
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたい場合に利用できますが、形式不備のリスクがあるため、利用場面は限定的です。
どの方式を選ぶべきか迷う場合は、行政書士などの専門家に相談し、財産内容や家族構成に合った方法を選ぶことが重要です。
林秀行税理士・行政書士事務所
住所:長野県塩尻市大門一番町8-1
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